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オカルト関連のおすすめ本『押入れのちよ』(荻原浩・著)

おすすめ本紹介
書籍情報

・タイトル:押入れのちよ
・著者:荻原浩
・出版社: 新潮社 (2009/1/1)
・ジャンル:さまざまな幽霊談・奇譚からなるホラー短編集

自分にぴったりあった賃貸物件を探すのは難しいものです。

家族構成やふところ具合に完璧にマッチする部屋はなかなかみつかりませんし、あったとしても引っ越した後に「こんなはずじゃなかった」と後悔することも。

事故物件の場合は家主さんや管理会社が入居者に通知する必要がありますが、「出る部屋」の場合は必ずしもそうではないのが難しいところです。

本書の表題作「押入れのちよ」の主人公も、家賃の安さにひかれてアパートに入居したものの、押入れの中から夜な夜な出てくる少女の霊に悩まされるようになります。

…と書くと王道ホラーでしかないのですが、この少女霊「ちよ」ちゃん、天然というか何というか、あまりの鬼気のなさに主人公も読者も脱力させられる変な幽霊なのです。

大正時代に亡くなった彼女は断片的にしか記憶を保っておらず、主人公の助力で少しずつその悲劇的最後が明らかになっていきます。

その過程がなかなか面白いのですが、一方で「肉体を持たない幽霊は、どうやって物理的距離を移動するのか?」という、オカルトファンが抱く素朴な疑問に、ひとつの提案が行われているのも興味深いです。

これから一人暮らしを始める方も、出る部屋だった場合に備え、心構えの書として一読しておくといいかもしれません。

全部で9編からなるこちらの短編集は、ちよはじめ生身の人間にやさしく接してくる霊の話が多めです。

かと思えば、生身の人間どうしが凄まじい姿で争う壮絶なお話があったり、読んでいるうちに妖怪の魔力に引き込まれそうになる話ありと、バラエティに富んでいます。

「木下闇(こしたやみ)」は樹齢何百年もある巨大なクスの木を中心にした話で、不安をあおるようにざわざわと鳴る梢の表現も秀逸なのですが、ここで私は「あっ…『千年樹』の木に似ている…」とピンときました。

(同じく荻原さんの著書である「千年樹」(2007)は、クスの木を主人公にしたさらに強烈なホラー連作集で、こちらもおすすめです。)

悲哀にみちた幽霊談に時折軽快に入り込むジョークが楽しく、すいすいと読める短編集でしたが、個人的に一番気に入っているのは冒頭の「お母さまのロシアのスープ」です。

穏やかな童話調で語られるも背筋の寒くなる話なのですが、私は読了後、我慢できずに生まれて初めてボルシチ・スープを作ってしまいました。

さすがにかたまり肉ではなく、細切れベーコンを使用しましたが、ビーツの赤褐色で鍋の中が阿鼻叫喚地獄ふうに染まり、なかなか乙な出来栄えでおいしかったです。

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