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【ゾッとする話】振り向けば、誰もいない

FM都市伝説

【投稿者:ラムさん】

友人のF子が、新婚旅行から帰ってきました。

お土産を渡したいと言われて彼女の家に行くと、F子がなぜか暗い顔をしているんです。

もしかして、新婚旅行中にダンナさんとケンカにでもなったのかなと思っていたら、そうではないようなんです。

なにかあったのかと聞くと、F子はためらいがちに教えてくれました。

F子とダンナさんは大のドラマ好きで、新婚旅行では有名なテレビドラマのロケ地を巡ったそうです。

なかでも、F子はサスペンスドラマがお気に入りで、ある崖を見に行ったそうです。

観光地でもあり、見に行くと数人の観光客がいて、なかなか近くまで行けなかったそうです。

やっと近くまで行けたF子は、しばらくドラマの主人公になった気持ちで、その場の雰囲気に酔いしれていたそうです。

と、背中を押されるような感覚がして、F子はダンナがふざけてるんだわ。と思って、軽く「やめてよ」と言いながらも、そのまま趣味のカメラで絶景を写真に収め続けていたそうです。

「でも、それが結構しつこくて。何度も何度も背中を押してくるの。最初は軽くだったんだけど、次第に力が強くなっていって、崖の方に追いやられる感じで」

F子は、さすがにイラっとしたそうで、でもなにか奇妙な感じもして。何が奇妙かというと、背中を押しながらもダンナさんは何も言わないんだそうです。

何か言ってくれれば冗談でやっているとわかるのに何も言ってくれないので冗談とは思えなくなってきて、F子が言います。

「だから私、振り向いて文句を言おうとしたのよ。そうしたら、、、誰もいないの」

そう。後ろにいたはずのご主人は、いつのまにかいなかったそうです。

そして、他の人も、誰もそこにはいなかったようで、F子は言葉さえ出なかったと言っていました。

「ダンナは持っていたパンフレットが風に飛ばされて、それを追いかけて走って行ってたらしくて」

戻ってきたご主人に、F子は自分の身におきたことを話したのですが、ご主人はF子がオーバーに言っているだけだろうと笑ったそうですがF子は笑えなかったそうです。

「あのまま崖の方に押されていたら、私どうなっていたんだろ」

半ば青ざめた顔のままうつむくF子に、かける言葉が見つかりませんでした。

「あ、そうだ。これ、温泉まんじゅう。皆で食べてね」

F子は、まるで怖かった時の気持ちをまぎらわせるようにして、温泉まんじゅうを出してきました。

可愛らしい包装紙の温泉まんじゅう。ですが、話を聞いた後では素直に喜べないところもありました。

F子を押したのは、一体、誰だったのでしょう。