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杉沢村にまつわる都市伝説を考察する|本当に実在するのか、そして津山事件との関連性とは?

FM都市伝説

ブームとなった都市伝説の1つに「杉沢村」という村の伝説があります。

地上波の番組である奇跡体験!アンビリバボーでも取り上げられ、静かなブームを巻き起こしました。

今回は、当時噂された杉沢村伝説の概要と真実についてお話します。

杉沢村伝説の概要

杉沢村伝説とは、青森県にあったとされる杉沢村に関する都市伝説です。

かつて青森県の山奥深くに杉沢村という村が存在しました。

しかし、昭和の始めに村人の1人がいきなり発狂して、村人全員を殺して、自殺するという事件が起きたのです。そしてその村は誰もいなくなったので、隣の村に編入され廃村となりました。

あまりに凄惨な事件であったため、地図や公的文書からも消去され、今は悪霊達の住処として存在しているというものです。

そしてこの都市伝説では、杉沢村への行き方も語られています。あくまで噂なので、諸説ありますが、おおまかな道順は以下の通りです。

  1. 村へ向かうための道路には、「ここから先へ立ち入る者 命の保証はない」と書かれた看板がある。
  2. 村の入口には朽ちた鳥居とドクロにみえる石がある。
  3. 村の奥に行くと、村人達が住んでいたであろう家が、廃墟となったおり、そこには事件の際についたであろう血痕が多数残っている。

ただし、この噂だけでは杉沢村へはたどり着けません。スタート地点の道路がどこなのか語られていないからです。

杉沢村伝説の流布

杉沢村伝説の広がり

杉沢村伝説は当初、インターネットで話題になりました。どこから発生した都市伝説なのかはわかっていません。

メディアではじめて杉沢村を取り上げたのは、2000年8月に発行された『ダークサイドJAPAN vol.1』という雑誌です。

そのすぐ後に放映された、奇跡体験! アンビリバボー 2時間恐怖スペシャルで紹介され、一気にブームに火が付きました。

それからは、他のメディアでもたびたび取り上げられるようになり、杉沢村を見つけて調査しようとするオカルト好きや、肝試しのために杉沢村を目指す人達が現れ、各々の成果や考察をインターネットに公開しました。

TV局等の調査結果

まず最初に本格的な杉沢村に関する調査を行ったのは、奇跡体験! アンビリバボー 2時間恐怖スペシャルです。

番組で行われた調査によって、青森県内の青森市(旧浪岡町)・南部町(旧福地町)・三戸町に、杉沢と呼ばれている集落や地名が存在することがわかしました。

しかし、そのどれもが都市伝説の杉沢村とは関係がなく、番組の最後まで杉沢村を発見することはできませんでした。

そして、「杉沢村は時空の歪みの中に存在し、現われたり消えたりする村である」と結論づけました。

その後に色々なメディアが、杉沢村を探しましたが、同様に発見には至りませんでした。

しかし、ついに杉沢村を突き止めるメディアが現れたのです。

それは、「北野誠のお前らいくな。~僕らは心霊探偵団~」の第2回として放映された青森編でした。

(お前ら行くな。は有料コンテンツでしか映像が残っていないのですが、当時の裏話としてラジオで話してる動画が存在します。下記動画の13分56秒あたりから杉沢村について語られています)

この番組は日本各地の心霊スポットを、北野誠と西浦和也が訪れる番組です。

番組の企画で青森に行き、杉沢村があるという周辺で聞き込みをしていると、近所のおばさんが話をしてくれました。その内容を要約すると、

  • 杉沢村は本当にあったが、今は誰もいなくなった。
  • いなくなったのは殺人事件が起きたからではない。そもそも殺人事件が発生していない。
  • 人がいなくなった原因は、最初に病気で立て続けに何人か死んだ。それを周りの村が不吉だという受け止め方をしたため、住みにくくなって、だんだんと人がいなくなり、今は誰もいない。

この番組が発見したのが本当の杉沢村かどうかはわかりません。ですが、噂の元となるような出来事があり、地理的にも近くだと言われていることから、可能性は高いのではないでしょうか。

杉沢村伝説発祥についての考察

ではなぜ、杉沢村伝説が生まれたのかもう少し深く掘り下げてみます。

まず「おまえら行くな」でおばさんが話してくれたことは事実であるとします。

話の中で杉沢村伝説と一致しているのは、「杉沢村は本当にあったが、今は誰もいなくなった」ここだけです。

しかしもう1つ、同じではないけれど、重要な要素があります。それは「村人の病死を周りの村が不吉だという受け止め方をした」という点です。ではこれを1文にまとめます。

「杉沢村では不吉なことが起こり、村人が誰もいなくなった」

かなり、杉沢村伝説に近くなりました。推測になりますが、噂の原点はこのような感じだったのだと思います。

しかしなぜこの噂に、殺人事件という要素が入ってきたのかという問題が残ります。

その答えはもう1つの村人がいなくなった事件にあります。

現場は山奥・起こったのは昭和初期・大量殺人・犯人が最後に自殺、このすべての要素を含んだ事件、その事件の名は「津山事件」です。

別名「津山30人殺し」とも呼ばれ、横溝正史の小説『八つ墓村』のモデルになった事件でもあります。

津山事件とは、昭和13年に岡山県苫田郡西加茂村大字行重(現・津山氏加茂町行重)の貝尾、坂本集落で起きた殺人事件です。

犯人は都井睦雄という村の青年で、兵役検査で丙種合格になったことや結核にかかったことを理由に村人に冷たくされます。

それを恨んだ都井睦雄は、銃や日本刀などの刃物を準備し、ひと晩の内に30人を殺した後に自殺したという大事件です。この事件と杉沢村伝説を較べてみます。

事件の発生は山奥の集落です。起こったのは昭和13年と昭和初期に発生してます。

犯人は30人を殺し、最後に自殺しました。

津山事件の後でも集落で生活を続ける村人はいたので、そこは違いますが、ほぼ杉沢村伝説と同じです。

しかも津山事件はマスコミが大々的に報じ、内容もショッキングだったため、多くの人の記憶に残りました。

場所は青森と岡山で遠く離れていますが、同じ時期に住民のほとんどがいなくなった2つの村が存在し、片方の情報はマスコミによって流布されます。

そして、2つの話がどこかで混同された結果、生まれたのが杉沢村伝説ではないかと思います。

これは都市伝説や、怪談や妖怪といったものにはありがちなパターンです。

そういったものの多くはベースとなった話が複数存在し、それが集合した結果、噂として表層に現れるのです。

さいごに

杉沢村伝説の元となった出来事は昭和初期の事件です。

そんな昔の出来事が平成になってから、急に都市伝説として広まったのは、インターネットにより情報の流動性が増したからだと思われます。

実際にインターネット発の都市伝説は、杉沢村以外にもどんどん生まれています。

これからさらに情報の流動性が上がっていけば、第2・第3の杉沢村伝説が生まれるのもそう遠いことではないはずです。

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